イチローが新たな金字塔を打ち立てた。米大リーグ、マリナーズのイチローは17日、ロイヤルズ戦の第2、第3、第4打席で安打を放ち、メジャー記録と並ぶ8年連続200安打を達成した。イチローは前日の試合までで、今季通算安打を197安打とし、200安打まで残り3本と迫っていた。数々の大記録を追い抜いてきたイチローらしく、あっさりと大台に到達した。 ア・リーグ東地区の1位レイズと2位レッドソックスは首位攻防3連戦の第3戦。レイズの岩村は一回に一塁内野安打を放った。試合はレイズが快勝し、2ゲーム差と引き離した。 ◇セピア色の伝説よみがえる マリナーズのイチローが、107年前に樹立された大リーグ記録に並ぶ8年連続200安打を達成した。ロイヤルズの左腕メイヘイから、この夜3安打目となる遊撃内野安打で大台に乗せたイチローは、敵地の観衆から送られる拍手にヘルメットを取って応えた。 三回に一塁線を破る二塁打、五回に三塁後方に落ちる安打を打った後、八回の第4打席でスピードを生かして200安打に到達した。ニューヨーク生まれの左打者、キーラーが作ったセピア色の伝説が、イチローによってよみがえった瞬間でもあった。 「2ストライクまでのファウルはストライクにカウントする」など近代野球のルールが確立されたのは1900年以降で、キーラーの記録はルールが打者優位の時代に作られた。出場試合数はシーズン162試合の現在の方が多いが、その分、肉体への負担は大きくなっている。200安打到達のためには、故障による離脱はほとんど許されない。 さらに8年連続のためには、夏場には75キロを切ることもある細身の体に対する自己管理を継続し、常に高いレベルを保つ必要がある。大リーグ最多の通算4256安打を記録したピート・ローズも、シーズン200安打は3年連続が最高だ。 イチローはかつて言った。「どんな苦しい時でも、あきらめようとする自分がいなかった。その時のベストを尽くそうという自分が、いつもいた」。表舞台のイチローを支えているのは、陰で努力を続ける、もう一人のイチローにほかならない。 ■ウィリー・キーラー(Willie Keeler)(1872~1923) 左投げ左打ちの外野手。1892年に大リーグ入り。ジャイアンツを皮切りにオリオールズ、ハイランダース(ヤンキースの旧名)などで活躍。身長5フィート4インチ(約163センチ)、体重140ポンド(約63キロ)と小柄な体格ながら、巧みなバットコントロールで、大リーグ3年目の1894年から1901年まで8年連続シーズン200安打をマークした。長さ30インチ(約76センチ)の短いバットが特徴だった。1910年に引退し、39年に野球殿堂入り。生涯成績は2123試合出場、2932安打、打率3割4分1厘。